Louis Vuitton|ルイヴィトン|ヴィトン

今回は主にパイピング部分が経年劣化でボロボロになった旧ナイルと呼ばれるヴィトンのバッグをDIYでリペアを兼ねてアレンジに挑戦してみたいと思います。
実は会社に弁当を持って行くんですけど、幅が広いと会社のロッカーに入らないんですよね。最近は会社のロッカーすらバッグも着替えも入らないコンパクトサイズが多くてなんか世知辛いです。それでヤフオクを覗いていた時にサイズ感が気に入って落札しました。

経年劣化

落札した時からすでに状態はあまり良くなく、ヤレやスレ、型崩れがありました。特にパイピング部分は革が硬化していてヒビもあり、擦れによる毛羽立ちも目立っていました。

どうしてこんな状態の良くないバッグを購入したかというと、初めに話したとおり使用用途が弁当入れなので、汚れたりすることが前提なんですよね。しかも扱いも会社の狭いロッカーに押し込んだり雑に使うことになるので、見た目は気にしない、そして何より安い。同じ価格帯で新品も含め色々探しましたが、このサイズ感のものが見つからなかったんですよね。

パイピングの破れ

落札から半年ほど使用しましたが、気が付くとパイピングから芯が飛び出ていました。見た目は気にしないとはいえパイピングから芯が飛び出た状態のヴィトンを持ち歩くのはチョット格好悪いですよね。

3本のパイピング

修理に出すことも考えましたが、修理するパイピングが一ヵ所なら数千円から2万円くらい。このバッグは3本パイピングがあって全て劣化が進んでいるので3本全て交換となると、一度バッグを解体する必要があると思います。そうなると費用は1~2万円じゃ済まないですよね。落札額の何倍もの出費は本末転倒なので却下です。ならばDIYするしかないというわけです。

パイピング構造

修理の方法を色々考えましたが、私にはレザークラフトの知識も技術も全くありません。裁縫も穴が開いた靴下を繕うくらいが関の山です。バッグの分解はもちろん、縫い方も全く分からずで、どうしたらいいのか悩んでいました。悩んだ結果、パイピングを交換するんじゃなくて、パイピングを覆ってしまおうと思ったわけです。つまりパイピングを別の革なり布なりで覆ってしまえば分解・交換しなくて済むわけです。

パイピング修理方法

そして覆い方ですが、パイピングは細いので生地を縫い付けるのにも知識と技術が必要になります。そんなものは持ち合わせていないので、手軽に専用ボンドで貼り付けていきたいと思います。

毛足の長いファー

貼り付ける生地は毛足の長いファーにしました。これにも理由があって、毛足の長いファーだと素人仕事の貼り付け部分の粗が隠せるんじゃないかと思ったからです。

色はベージュも良いなと思ったんですが、おっさんが持つにはかわいくなりすぎて引かれそうでやめました。無難に同系色にすることにしました。もう少し毛足が短いほうが良かったんですが見つからなかったので妥協することにしました。

ブラシで埃をはらう

それでは、うまくいくか分かりませんが作業していきます。まずは、パイピングに溜まったホコリをブラシで取り除きます。

生地とパイピングの継ぎ目

パイピングや生地の継ぎ目を探します。継ぎ目をスタート地点にしてパイピングにファーを貼り付けていきます。そうすることでファーの継ぎ目が目立たず、仕上がりが良く見えます。

ボンド付け

スタート地点が決まったら、細い楊枝などを使ってパイピングの根元にボンドを塗布します。私は手元にあった糸楊枝をつかいました。糸楊枝は細くて薄いので、ボンドをパイピングの根元に塗布しやすく厚さも薄いので、ファーをパイピングの根元に押し込むのに丁度良かったですね。始めは作業し易いようにスタート地点の2〜3cmほどをしっかり接着します。

ファーをパイピングの根元に押し込む

ボンドをパイピングの根元奥まで塗布したらファーの生地端をパイピングの根元奥に押し込んでいきます。速乾性のボンドなら数分で外れなくなるので、ズレないようにしっかりと固定します。

スタート地点の接着ができたら、後は同じようにしてひたすら根気よくパイピングに接着していきます。

3~5cmづつ作業する

あまり長い距離を一度に作業しようとせず、3〜5cmくらいづつ作業します。そうしないと速乾性のボンドだと作業中に固まってしまいます。

バッグの角の処理

バッグの角の部分は注意が必要です。貼り付けの際に外径と内径の差が生じるので、ファーの生地を引っ張ったりたるませたり調整しながら貼り付けます。

目立つ場所をスタート地点に

ファーの片側の接着が完了したら、反対側を接着していきます。反対側を接着する際は一番目立つ場所からスタートします。皺などのつじつま合わせを目立たない底面で調整するためです。

パイピング全体にボンドを塗布

今度はパイピング全体にボンドを塗布してファーを巻き付けるようにしながら接着していきます。

1本目が完了

パイピング3本のうち1本が完了しました。残りの2本も頑張って作業します。

ファー貼り付け完了
ファー貼り付け完了

やりました!ファーの貼り付けが完了しました。仕上がりはこんな感じです。個人的には満足しています。ファーの毛並みが均一ではないですが、ファーの特性なので仕方ないですね。細かな部分を見ると粗もありますが、パイピングの劣化は上手く誤魔化せたと思います。
ここで完成としても良いんですが、それじゃあ面白くないので、チョットアレンジを加えてもっと個性的なヴィトンのバッグにしようと思います。

ヴィトンのマーク
USAAFマーク

ヴィトンのマークやUSエアフォースのマークを大きくプリントするなど、どんなデザインにするかいろいろ考えましたが、サイズ感がアンモボックスみたいなので、アンモボックスのステンシルにすることにしました。ステンシルも最近は印刷したようなものになっていて、昔のような所々切れた様なフォントではなくなっています。なのでこのバッグも今風のフォントにすることにしました。

アンモボックス

ただ、このデザインは文字も小さめなので手作業で切り抜くことが難しく、仕上がりに不安が残ります。そこでアイロンを使った熱転写シートを使ってこのデザインを再現します。

ヴィトンのトアル地

ですが、ここで大きな問題が一つ、バッグに使われている素材の耐熱温度です。ご存知でしょうか、ヴィトンといえばモノグラムやダミエをイメージする人が多いと思いますが、実は使われている素材はエジプト綿にPVCという合成樹脂をコーティング加工したトアル地ということらしいです。
この生地は傷に強く、雨粒なども弾いて汚れにくいので、耐久性が高く手入れが簡単というメリットがあります。デメリットとしては、およそ65度から85度で溶け始めるため、比較的熱に弱いことです。そして表面にシボ加工が施されているため熱転写シートがのりにくいんです。ですが、今回は人柱となるべく熱転写に挑戦します。

たるみが無くなるまで詰め物をする

初めに作業し易いようバッグに詰め物をしてシワやたるみを無くします。

ファーに養生する

ファーにアイロンが直接当たらないように養生します。

転写シートの余分をカット

転写シートの余分な部分をカットします。

マスキングテープで固定

転写位置を確認して転写シートをマスキングテープで固定します。

キッチンシートの上からアイロンがけ

転写の際はキッチンシートの上からアイロンをかけていきます。

生地を冷ましながら作業

アイロンの温度はメーカー推奨は中温(150〜160度)で20秒ですが、低温の中で仮止めした後、低温の高で様子を見ながら本転写していきます。生地の温度が上がりすぎないよう、時々冷ましながら作業します。なかなか生地に転写できませんが根気よくアイロンを当てる、冷ます、確認するという作業を繰り返します。

確認しながら転写シートを剥がす

転写できているか確認しながら慎重に転写シートを全て剥がします。

キッチンシートの上から再度アイロンがけ

転写した絵柄にキッチンシートを被せ、再度アイロンを当てて表面のシボに絵柄を密着させます。このとき5秒以上アイロンを当てると生地のシボが溶けて平らになってしまうので注意です。

アイロンがけ失敗

実は調子に乗って少し長くアイロンを当ててしまいシボの一部を溶かしてしまいました。油断するとこうなります。

完成
完成

完全に冷めたら絵柄に剥がれやメクレが無いか、ちゃんと密着しているかを確認して完成です。

チョット失敗しましたが、まぁ満足できる仕上がりになりました。点数にすると75点ですかね。ファーの毛並みが均一でない点と、シボを溶かしてしまった点が減点のポイントですね。失敗もDIYには付き物ということで、次に生かしたいと思います。

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