君の名は。|新海誠
公開前から話題独占だった新海誠監督の新作、『君の名は。』を見ました。周囲から聞こえてくる評価は概ね高く、女子からは良かった~が連発されていました。この作品は新海誠監督で男女が入れ替わることで物語が進行するらしいということくらいしか事前知識を持たずに見ました。
見始めてすぐに違和感を感じたのはキャラクターや背景など作画ですね。これは新海誠作品として見てはいけない作品なんだなと。キャラデは『あのはな』のスタッフだなとすぐわかりました。あのはなに感動した一人なので、あのキャラが嫌いというわけではなく、新海作品っぽくないという感じです。背景も新海作品はもっと鮮烈な印象があったと思います。その部分が薄れた感じでしょうか。セリフ回しも多少新海作品っぽい所はありましたが登場人物が多いため、この部分も薄れた感じです。
ストーリー自体は男女が入れ替わるということで転校生的な?とか思っていましたが、やはり似たようなアクシデントや行動で物語が進んでいきます。これはこれでまぁ面白かった。中盤、3年の時間差がある入れ替わりということが分かってクライマックスへと向かっていくわけですが、この時間のずれがストーリー展開のカギになっていました。ただ入れ替わっただけならストーリーに深みもないし展開がつまらなかったでしょうね。終盤『あのはな』や『ここさけ』みたいに皆で何かをやり遂げようとする展開でハラハラドキドキさせられますが新海作品っぽくない印象。お互いの名前も知らないまま記憶だけが消えていき、喪失感を抱えたまま数年が経ったある日、二人は出会い、お互いが探し求めていた大切な人だと気づく。女子はキュンキュンくる場面なんでしょうね。
作品は感動もするし、楽しめるストーリーで、見て満足いくものでした。ですが、昔の新海誠作品を見てそれを期待しているファンは新海誠の作品ではなく、監督作品なんだと理解して見るべき作品ですね。
君の名は。
書籍『新海誠監督作品 君の名は。美術画集』(一迅社)
監督/新海誠 監修/東宝、コミックス・ウェーブ・フィルム
千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。
「来世は東京のイケメン男子にしてくださ―い!!!」
そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。
一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。
繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。二人は気付く。
「私/俺たち、入れ替わってる!?」
いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。
「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」
辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた……。
出会うことのない二人の出逢い。運命の歯車が、いま動き出す