買い替えではなくリペアする理由

割れたフォグランプ

今回はS2000に装着しているフォグランプの補修を行います。S2000には車外品のRAYBRIG(レイブリック)製フォグランプを付けていますが、右側のレンズに大きくヒビが入っています。ヒビはレンズの端から端まで入っていて、完全に割れた状態の様に見えます。このままでは車検に通らないためフォグランプを取り外すか交換する必要があります。

できるだけ装備は現状のままにしておきたいので、何とかフォグランプは取り外さなくて済むようにしたいんですよね。一応、右側のレンズの予備は持っているんですが、RAYBRIGブランドは2021年3月31日をもって終了、STANLEY(スタンレー)ブランドに統一されてしまったうえ、古い製品なので新品の入手は困難になっています。なので、できれば新しいレンズは使わずにヒビの入ったレンズをリペアして使いたいんですよね。そこで、ヒビの入ったレンズをリペアで直せるかチャレンジしてみました。

フォグランプを取り外す

フォグランプを取り外す

まずはヒビの入ったフォグランプのレンズを取り外していきます。横の固定用ボルトを六角レンチを使って外していきます。

フォグランプの分離

次にレンズ背面のネジ6カ所を外してユニットとレンズを分離していきます。組み付けの時に困らないよう、配線や構造を写真に撮っておきます。

フォグランプ分離完了

ネジが固着していたりして少し手間取りましたが、無事分離できました。

レンズを外す

レンズはシーリングで接着

取り外したフォグランプのレンズを外していきますが、レンズはシーリング剤で本体とガッチリ接着されていてビクともしませんでした。そこでダメ元でテストではあまり効果を実感できませんでしたが、ディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントをシール材に塗布してみることにしました。

ポンプで注入

ディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントをポンプに移し替えて本体とレンズの隙間からタップリ注入していきます。様子を見ながらディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントを追加注入して2~3日程放置しました。

2~3日放置後

結果、シーリング剤にディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントが浸透して膨潤したようで、シーリング剤が隙間から見えるようになり、隙間も少し大きくなりました。これなら何とかなりそうです。少し希望が見えてきました。

シーリングを削りだす

ガッチリと接着されている状態は変わりませんが、広がった隙間から歯の治療に使う鈎針の様なものを使ってシーリング材を削り取ることができました。根気よく少しづつ隙間からシーリング材を削り取っていきます。

更に数日放置

再度ディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントを注入して数日放置しました。レンズのヒビの隙間が広がり、本体との隙間も更に少し広がりました。レンズを押してみるとシーリング剤からレンズが外れかけているのか少し動くようになりました。再度、膨潤したシーリング材をコツコツ削り取っていきます。

再び数日放置

更にディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントを注入して数日放置。今度はレンズ内側に鈎針が入るほどヒビの隙間が広がりました。

レンズ内側を削り取る

この隙間からレンズ内側のシーリング材を削り取っていきます。できるだけシーリング材を削り取ったので、レンズ内側から押してみました。

レンズ内側から押してみた

何とか半分が外れました。残り半分も根気よくシーリング材を削ってからレンズを剥がしとることに成功しました。

シーリングを剥がす

レンズが外せたので、残ったシーリング材を綺麗に取り除いていきます。ほとんどシーリング材を取り除けたので、ディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントで綺麗に拭き取っていきます。

本体のリペア

剥げた塗装

本体はディゾルビット・コントラクターズ・ソルベントを塗布した際に塗装部分に付着し、痛んでいた塗装部分が浮いて剥がれてしまいました。本体は塗装して綺麗にすることにしました。

下地の研磨

浮いてしまった塗装をワイヤーブラシで剥がしました。今回はメッキ部分を痛めたくないのでリスクを避け、古い塗装を全て落とすことはせず下地作り程度のペーパー掛けにとどめました。本体部分は元々凸凹のある表面をしているので、多少の凸凹は気にしない事にします。

マスキング

マスキングをしていきます。まずは前面から。マスキングテープを貼り付けて、デザインナイフで形に添って余分な部分を切り取っていきます。

マスキング型取り

背面は防水のためのゴムシートから型取りしました。厚紙に形を写したらデザインナイフで切り取ります。

マスキング完了

側面のボルト穴には適当なボルトを付けておきます。マスキングが完了しました。

サフェーサー

早速塗装していきます。サーフェーサーは凹凸を無くすというよりは、色むら無く塗料がのるようにという程度に吹いています。

ペーパー掛け

目立つ凹凸や液ダレ跡をペーパー掛けして均していきます。

シャシーブラック

フォグランプは水が良く当たる部分に付いているので、今回は錆止防止のためシャシーブラックを塗布することにしました。

刷毛塗り

マスキングで隠れていた部分は刷毛を使って塗っておきました。

割れたレンズのリペア

裏からマスキング

続いて割れたレンズをリペアしていきます。レンズも付着していたシーリング材を全て剥がしておきました。シリコンオフで脱脂してマスキングしていきます。合わせを確認したらマスキングテープで固定して裏から隙間ができないようにマスキングテープを貼ります。

表からマスキング

表面のマスキングはヒビに沿ってヒビから出来るだけ近い場所にマスキングをしていきます。

UVレジン液

割れたレンズのリペアはレジンを使います。レジンには大きく分けて2液タイプのエポキシレジンと紫外線硬化タイプのUVレジンがあります。プロの現場では主に2液タイプのエポキシレジンが使われていると思いますが、今回は手軽で作業しやすいUVレジンを使います。

よくフロントガラスのリペア用に販売されている商品がありますが、あれも使われているのはUVレジンなんです。カーショップで売られているリペアセットは値段も張るので、ハンドメイドアクセサリー用に販売されているUVレジン液を購入しました。

UVレジンにも色々な製品がありますが、サラサラで気泡ができにくく、硬化すると固くなるハードタイプのUVレジンを選びました。レジンは透明度も高く、耐熱性もあります。欠点としては経年劣化により黄色く変色したり、収縮してしまったりします。また、ハードタイプは引っ張りには強いですが、捻じれには弱く、力が加わると剥がれる場合があります。

UVライト

同時にUVレジンを素早く硬化させるためのUVライトも購入。リペア面積が小さいのでペン型のUVライトにしました。UVレジンは接着剤に比べゆっくり作業できるうえ、UVライトを当てると直ぐに硬化するので便利です。光量も強・弱が選べ、強で手のひらに照射すると、ほんのり温かく感じます。UVライトは見えない汚れを見やすくする効果もあるので綺麗好きにはお勧めです。

UVレジン液を湯煎する

レジン液は使用前に湯煎しておくと粘度が低くなり、ヒビに浸透しやすくなります。

レジン液を注入

湯煎したレジン液をポンプでヒビに圧入する感じで塗布していきます。

ヒートガンで炙る

レジン液をヒビに塗布したら気泡を無くすと同時に浸透しやすくなるようにヒートガンで温風を当てていきます。

レジン液を追加塗布

仕上げ作業が楽になるように余分なレジン液を拭き取りました。仕上げの研磨をするので、多少レジンが残っていても大丈夫です。レジンが痩せたり入り込んでいない部分にレジン液を塗布します。

UVライト照射

レジン液がヒビに浸透したか、塗り忘れは無いか確認したらUVライトを照射してレジンを硬化させていきます。UVレジンはUVライトを照射すると大体5~10秒程で硬化します。レジンが硬化したらマスキングを剥がしていきます。

割れた部分はレジンをボンド代わりに塗布して接着します。レンズが一部欠損して凹んでいる部分にはレジン液を盛って補修します。

カッターナイフで削る

レンズを研磨する前に余分なレジンはカッターナイフや剃刀の刃で削っておきます。

水研ぎ

レンズを耐水ペーパーで研磨して仕上げていきます。粗目の番手から始めて徐々に細かい番手で研磨します。レジンは比較的削れやすいので#2000くらいから始めてOKです。今回は#2000・#3000・#5000・#7000を使って研磨しました。裏面も同じように研磨します。

リペア済レンズ

セーム皮で拭いて仕上がりを確認します。正面から見るとヒビはほぼ見えませんが、角度によってはヒビの跡がハッキリと分かってしまいます。

カー用瓶店で売っているフロントガラスのリペアセットにも長いヒビ傷には使用できないと書かれている通りレジンでのリペアはヒビ傷には向いていないのかもしれませんね。

シーリング剤で接着

最後に本体にシーリング材を塗布してレンズを接着します。

リペアした結果

新旧比較

残念ながらリペアしたレンズはヒビのリペア跡が分かってしまうので車検には通らないと思います。S2000には持っていた予備を取付けてリペアした物は保管しておくことにしました。

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